最優秀賞
亀甲編盛籃
内藤 節子〔栃木県大田原市〕
サイズ:32×45.5×14
浅めの小判型の手付き盛籃で、バランスをとるのが難しい把手は、取り付け部近くで屈曲させ高さを抑えてあり、品よくおさまっている。見込みは濃褐色から淡い褐色の諧調の横ヒゴを詰め、縦編みのヒゴとで亀甲様の網代を編みだし、精細さと端正さとを醸し出している。外縁に巻きつけた平の竹ヒゴも無理がなく、束ねられた上面の三か所に波のような浮き彫りが施してあるなど、細やかな気配りがしてある。造形性を強調する制作ではないが、きちんとまとめ上げられる力量の程をうかがわせる作品であろう。
-諸山 正則-
優秀賞
躍動
渡辺 千明〔新潟県佐渡市〕
サイズ:53×30×52
この度、第5次放鳥のトキの様でもあり、滝に、飛び跳ねる鯉の様にも見える象形的オブジェである。
2ミリ弱の竹幅の細四ツ目透編ボディに、ササラ縁で形を整えてある。
題名通り、躍動感のある、新鮮な面白い作品である。
オーソドックスな伝統的作品群の中では、斬新な一面であろう。
-本間 一秋-
技能賞
千鳥編花籃(波照)
友成 晴美〔大分県豊後高田市〕
サイズ:26×26×35
壷型の作品の外側は千鳥編で内側はゴザ目編である。底を網代から七廻しをかけて丸く広げられている。外側は高台から縁まで千鳥編である。編む前に2色に染め、その配分と編の疎密によって模様を編み出している。その心配りは技術の裏付けがあって初めて出来る造形の妙である。
-勝城 蒼鳳-
三重六つ目編盛籃「煌」
栗原 秀子〔栃木県大田原市〕
サイズ:33.5×33.5×11.5
見込みを色みの異なる薄いヒゴで三重の六つ目編みとした盛籃である。編みのズレから淡い竹色のヒゴがうかがえ、変化の面白みを与えている。外側は、束ね透かしの編みとし、束ねのヒゴの展開が伸びやかで、韻律のよい空気感をつくっている。重厚になり過ぎず、清爽な作行きを表している。
-諸山 正則-
デザイン賞
装い
東 次男〔神奈川県平塚市〕
サイズ:21×21×42
さらりと着物をまとったような人の姿を思わせる筒形に近いフォルム。
赤と、やや赤みのある黒を編み込んだ配色は誠に粋であり、いかにも現代の装いの雰囲気を醸し出している。
着物の合わせのようなラインと底面の縁は黒で引き締められ、洒落たデザインとなった。
安定した技術とモダンな意匠性によって、花籠としても、オブジェとしても成立しうる作品となっている。
-外舘 和子-
夢幻
佐藤 敦子〔千葉県佐倉市〕
サイズ:24×62×25
夢幻を拝見して、人間国宝故飯塚小玕斎先生が、先年発表の花籃を思い起させて呉れました。舟底の様な湾曲縁が印象的でした。
制作上、強弱・粗密等コントラストの妙を、モットーにしております。
夢幻は、幅広竹の力強い斜列を引締める、緻密な黒・朱二彩の網代胴編でコントラストをつける構成が見事であり、亦、情熱的な快作でもある。作者は、敢えて塗装を避け澁さを狙った様に見受けますが、艶をおさえた擦漆仕上げにしてみたい。
-本間 一秋-
花籃「星雲」
髙木 政美〔栃木県益子町〕
サイズ:22×44×20
前後の模様は中央を鉄線で編み、上、下を縦網代に編み変えてある。口のある胴の部分は別に編んで前後を縁取りのところで立体に作ってある。前後の縁取りの柔らかな輪郭線がこの作品を一層引き立てている。作品の色調も良く全体が仄々とした感じに仕上げられている。
-勝城 蒼鳳-
新人賞
鉄線編三重花篭
箱田 憲司〔栃木県宇都宮市〕
サイズ:12×12×47
長く伸びた把手と小ぶりなボディとのバランスが美しい。
三重にした鉄線編みは、模様の変化とともにボディの厚みや奥行きを構築し、竹ならではの魅力を示している。
作者の竹芸経験年数はまだ2年であるという。
しかし早くもセンスの良さと可能性を感じさせる頼もしい作品である。
-外舘 和子-